「礼」にはじまる
居合道に限らず、武道の世界では礼法をとても重んじます。
道場(体育館)など、これから立ち入り武術の鍛錬をする「場所」に対する礼をしますが、これはこの場所をお借りしますという感謝の礼です。
礼をして入ったら、そこはすでに武術鍛錬の場。気持ちの切り替えをします。
次に神前の例。本来、道場には神棚があり、そちらに向かい深々と礼をします。居合の場合、地域によっては、山形にある居合神社の方角に向かって、礼をするところもありますが、その通り、この礼は、武術の業を今まで伝えてきてくれた先人達に対しての感謝の礼です。
そして次に、居合道の場合、刀礼があります。
刀は、多くの職人が魂を注いで作り上げた、いわば「神器」でありますので、刀の製作に携わった全ての人、製法を現代に伝えてきた先人達に対する感謝の気持ちを現します。
ここまで、3つの「礼」をご紹介しましたが、それとは別に「礼節」というものも重んじるのが武道の世界です。
師匠はもちろん、兄弟子に対しての礼節。これが現代は薄れかけていますが、武道の世界では大切な要素です。
段位など関係なく、1日でもはやくはじめたものが兄弟子となります。
時には兄弟子が業について教えてくれる事もあるでしょう。それに対して口答えをするような人が散見されますがこれはいけません。師匠の教えならばなおさらです。
違った事を言われたなと思っていても、取れるところだけを取るようにすれば、良いだけの事です。
礼節を常に重んじる精神を持つ事。これは後々きっと研鑽を積む上での糧となりましょう。
絵と文 : 杉浦
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