根っこが肝。枝葉ばかりを気にするべからず。

 あるとき、20代竹嶋ご宗家が、倒れている木を見て、一緒にいた当支部の杉浦 薫先生に問いかけます。「おんしゃぁ、あの木はどうして倒れたのかわかるか?」

杉浦 薫先生は「さぁ、先日の台風で倒れたんじゃないでしょうか」と返答します。

竹嶋先生は、「あれは根っこが弱っちょったき倒れたが。居合も同じじゃ〜、解るろ?」と居合を木に例えて教えてくれたそうです。

人間の体で言うと「根」とは脚であり、胴体は幹となりますが、居合の「根」とは、当然脚のことも含まれますが、居合に取り組む心であり、刀法の基礎である「身体を使った業」のことを言います。

居合道は、基本的に形稽古ですから、形や姿勢、所作の美しさなど、武術に関係の薄い、枝葉の部分ばかりが目についてしまいがちです。しかし、枝葉の部分を触りすぎた木は不恰好であり、大きく育ちません。

土佐の居合は、代々、枝葉のところには触れず、「根」を大切にしています。

その為、敵が形から外れた想定外の動きをしてきた時でも、柔軟に応じることができる土佐の居合。

「根」は、肝である。その教えを大切に、日々鍛錬しています。


絵の文 : 杉浦 豪

土佐直伝英信流東京支部

土佐藩に伝わり、歴代宗家により脈々と継承されている、居合術の流派「土佐直伝英信流」 東京支部は、東京都内と埼玉県(新座市)に道場を置く居合道グループです。 土佐を出る事なく、大切に守られてきた古流居合術「土佐直伝英信流」。 東京支部は、土佐以外に初めて作られた支部であり、とても歴史があります。 右上のメニューより、詳細と東京支部の成り立ちをご覧ください。